JGTO 海老沢会長インタビュー

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― JGTOの「挑戦と貢献」に取組まれてから 2期目に入っておりますが、現状ではどのよう な見解をお持ちでしょうか

我々ゴルフツアー機構が日本プロゴルフ協会から独立して15年。15年経ちますと良い面や改善点が当然見えて来ます。どうしても体制や組織がマンネリ化しても来ます。そうした中でこの時代の流れや時世も変わって来ます。変化の激しい時代です。15年の歴史を総括して時代にあった組織体制にしていかないと時代の流れに取り残されてしまいます。世の中の流れを正しく把握して組織なりの活性化、新しい体制を引いて士気を高めていくという事を考えなくてはなりません。

それと同時に、選手が仕事をしやすくするための機関でもありますから、選手会とのコミュニケーションを深めて選手との対話対応を促進しなければなりません。選手会の方も池田選手会長が積極的に改革に取組んでおりますので、我々も選手会との関係を緊密にしていかなくてはならないということで組織を変えました。皆さんの仕事がしやすい、ゴルフファンを増やすチャンスを増やしていこうと引き続き組織の見直しをしています。

今季も半年が経ちましたが、国内の政治、景況は消費税の値上げなどにより、また世界の経済の動向を見ても当初予想したよりも良くなっていない。そうした観点から見ておりますと、やはりゴルフトーナメントの観客の入りも、もうひとつ盛り上がらない。そうした中で松山選手、石川選手がアメリカのPGAツアーに挑戦中ですが、松山選手がメモリアルトーナメントで初優勝を成すというビッグニュースがありました。その快挙でもってもうひとつ盛り上がりを期待したのですが思ったほどではなかった。むしろ、この2人のスタープレーヤーが国内の試合に出る機会が減ってしまったことで、スポンサーからは日本のトーナメントにもっと参加してほしいという要望も聞かれます。世界の舞台で存在感を増して欲しいという期待もありますが、JGTOを土台として戦っている訳ですから、もっと日本でも活躍を見せて欲しいとも思います。私どもでは年間、日本で5試合以上という条件も設けておりますが欲をいえばもっと帰ってきて欲しいという思いもあります。日本と海外の両方をうまく改善できればいいのですが歯がゆいところではあります。後半戦では2人のプロの国内戦への参加が増えるよう対応を考えなければならないと思っています。

― 今後の新規トーナメントを増やす構想はどうでしょう

今年は国内23試合で国外で2試合ということですけれども、タイランドオープンはバンコクの政変で開催できませんでした。フィリピンでの試合も内定していたのですが台風等の影響で無くなった。来年はタイの方もバンコクではなく、政治的影響のないところでやろうと話を進めております。我々としましてはもっとアジア地域との交流を深めようと様々な働きかけをしております。できれば中国も、視野には入れておりますが政治情勢、経済情勢もろもろあって難しい面があり、その辺は時代の流れ次第でという部分もあります。いずれにせよ、国内を増やしたいと思っても現在の景況の芳しくない経済情勢なものですから話が進んでいきません。それと、やはり興行の世界でありますからスター選手がもっと出てきて欲しい。スター選手不在では歌舞伎でも大相撲でも近代的な野球やサッカーにしても盛り上がらない。我々の使命はスタープレーヤーの育成、選手層の厚みを増すことが目標でもあります。2016年リオデジャネイロのオリンピックで112年ぶりにゴルフ競技が復活しますし、それを目指して強化合宿を去年今年と行いました。そうした中で強く魅力的な選手の育成ができればと思います。そもそもゴルフの場合は個人プレーなので合宿制度という概念が無かった。個人個人、グループ単位での取組みはありましたが。これについてはオリンピックという新しい流れの中で継続して力を入れていきます。どの業界でも10年から20年のスパンで逸材が出現する傾向がありますが、私は大相撲も関係しておりますけれど、そこでも相撲界をあげて危機感を持って再興を計ろうとしています。長い歴史と伝統の裏付けがある訳ですから。どの時代でも良い時と悪い時があります。悪い時にはどう乗り越えるか。我々は流れの谷間にいるような状態ですが、強い精神力を持って乗り切ろうと組織をあげて取り組んでいます。

よりゴルフに親しみやすい形を模索して 提供することも競技人口を増やす鍵になる

—予算規模という部分で新規のダンロップ・スリクソン福島オープンが少ない賞金総額で開催されました

スポンサーから見れば費用対効果を考えるのは当然の事です。費用対効果でこれだけのお金をかけたけれども相応の効果が挙がらないという話になれば躊躇されるのは当然の事です。ですからスポンサーがやりやすいようなリーズナブルな料金設定、費用設定というのはある意味必要でしょう。アメリカのPGAツアーなどを見ますと、開催規模は日本の4倍から5倍。桁が違います。オリンピックの放映権などでも4〜5倍の差があります。それは人口も3億を超えていますし単純に比較はできませんが。いずれにしても費用対効果でスポンサーがやりやすいような料金設定を考慮するということはしなければならないだろうし、その上で私どももできるだけ年間30試合ぐらいはやりたいということで営業活動に力を入れています。組織をあげて営業力をつけて積極的にスポンサーに提案をしていこうと。

今、一番賞金が大きいのが2億円で福島の5千万円とは相当差がありますが、それでも選手にとって出場しやすいようなことを考えながら提案を出していきたいと思っています。各スポンサーの意見を聞きますと、もとより企画がどうだというのもさることながら、やはり興行ですし、もっと選手がスマートで格好良くて世界にアピールするような、演出力演技力をつけてもらいたいということもあります。プロアマでのスポンサーに対するサービスも、もてなす対応をしてもらいたいという要望もあります。ひとつだけではなくていろんな要素が絡むことです。基本的には選手個々の格好良さであり、相撲で心技体といいますが体力とそうした精神力をつけて憧れの対象となって欲しいと思います。

— プロアマで一緒に回ると良い選手とわかるが、テレビでは中々伝わってこない。そういう意味ではサービスベタなのかと

その辺は我々日本人男子の特性として照れくさい、シャイな面があるのだろうと。オーバーなパフォーマンスに抵抗があったりもするのでしょう。全体で選手を見れば良くても印象論でひとりの選手の態度が悪いと皆が悪いような印象を持たれもします。全体で見ればいいのですが、そうした1人2人の選手の印象が悪いと全てがそうだとなってしまいます。この世界は厳しいですから、そうした意見も参考にしながら是正していかないといけない。選手の言動や服装、マナーについてはスポンサーからも言われています。やはり外国の選手はみんなスマートですよね。非常にフレンドリーでもあって。翻って日本はどうなんだと言われます。皆が皆そうではないのですが、人前でたばこを吸わないだとか、照れくさいとかそうしたことはありますけれども、できるだけ好ましいとされるサービスを考えようという要望を出しまして、選手会にも了解してもらっております。選手、キャディの服装に関しては、フジサンケイクラシックから違反者には罰金を課すことにもしました。基本的な立ち居振る舞いの点ですからスポンサーの意見にも応え、より厳しく対応していきます。

— ゴルフの普及という点で何か思われることは

いわゆるゴルフ人口が減っています。ギャラリーの動員にも影響しています。また視聴率が伸びない等ゴルフ界を取り巻く環境は厳しいです。アメリカでもヨーロッパでもゴルフの観客が減っています。アメリカではこの10年間で500万人観客が減ったという話を聞いています。私は以前、アメリカPGAツアーのコミッショナーのティム・フィンチェム氏に問題点を聞いたことがあるのですが、ひとつは日本もそうですけれどゴルフ場までの距離が遠いということがあります。1日仕事になってしまう。アメリカでも丸々1日は潰せないということがあって、18ホールではなく9ホール、或は12ホールとして時間を短縮する。その代わり料金も下げて、短縮したらどうかというものでした。それと、やはりゴルフは一般の人たちには金持ちのスポーツというイメージが強く、最初から二の足を踏んでしまう。そういう面ではもっと安く気軽にできないかということで、ゴルフ場もプレーフィを安くする工夫をしてやっています。いずれにしてもこうした時代なので多様なやり方があっても良いのじゃないかと思います。新しいゴルフプレーのやり方というものを考えなければ。どうも今のゴルフ愛好者のニーズとミスマッチがあるように思います。

— 最後にゴルフ業界全体のことで思われていることがあれば

ひとつはゴルフの団体が日本の場合17団体あります。それぞれが様々な取組みをしておりますが、どうも実効が挙がっていないように思えます。我々にしても反省はしておりますが、もっとゴルフ業界全体の交流なり情報交換なり、或は新しいアイデアを出し合って、共通のテーマと具体策を持って一緒に取組む機会を作らないと全体の活性化にも普及にも効果が挙がってこないと思います。

それから我々としましては福祉活動の一環としてスナッグゴルフの用具の寄附を続けております。これが今では約500校を数えます。今後もこうした普及には努めていきます。

それと、ゴルフの中継はやはり生放送が望ましいと思っております。フジサンケイクラシックでは地上波・BS・CSを使った生中継を実施しましたが、相撲でもそうですが本番の勝負というものは生放送が一番、緊張感や迫力、魅力が伝わるものですから。

あと、思うのはプロを教えるプロの指導者を育成する環境が日本にも欲しい。専門的な指導者、一流のコーチといいますかベテラン中のベテランがプロの指導にあたる環境がなければ、せっかくの優秀な選手も才能においてそれ以上の向上機会を逃してしまうように思います。肝腎の選手を育てるために、まずそうした職業の処遇改善が必要です。アメリカあたりではプロを指導する専門職に対する処遇が非常に良いです。プライドを持ってその職に取り組めるよう地位の向上と処遇を良くする取組みも必要だと感じております。 1Tee写真