LPGA小林会長インタビュー

201505_01 ヒートアップする女子ゴルフ界にあってなお、さらなる発展と向上への改革改善に取り組む

LPGAを牽引して3期目を迎える小林会長。
選手の教育とレベルアップ、競技委員の強化、社会貢献事業など、ありとあらゆる場面で改革改善を推し進める。
新たな組織陣容も固まりスタートしたこれからのLPGAの将来構想、展望について自らの思いを交えて語ってもらった。

─ 会長として5年目を迎えますが4年間を振り返っての成果、感想はどのようなものでしょう

 毎年いろいろな事がありまして、あっという間に5年目を迎えたというのが率直なところです。シーズンが始まれば試合会場との往復になりますし。そうした中でも大きかった出来事というのはやはり就任してすぐに東日本大震災が起きたという事と、協会が社団法人から一般社団法人に変わったという事があります。それまでも理事職は3年ほどやっていましたが、それほど全体像をわかってやっていた訳ではありませんでしたので、1年目は協会全体を把握するためにも動きながらいろいろと覚えていきました。
 そして、一般社団法人になった時には協会の立ち位置がすごく変わりました。唯一無二の団体から、守られていない存在になった。自分の中でものすごく意識が変わりました。それでもお陰様で毎年試合数も伸びて、賞金総額も史上最高額を毎年更新するなど、スポンサーの方々はじめ全国のゴルフファンの皆様の応援があってこそと、試合会場に行くと肌で感じています。その一方で、協会の立ち位置がシビアになり、今まで通りの働き方ではいけないと感じ、改革を始めました。

─ そして2017年にはLPGA創立50周年という節目を迎えますが、そこへ向けて目指すものはなんでしょう

 2012年に「LPGAビジョン2016」を掲げました。この協会がどこへ向かっていくのか、 明確に協会内で共有するためです。そのビジョンとは、「LPGAのブランドの確立−ゴルフ専門団体ならではの安心、信頼、クオリティの高さ−」です。こうなった理由は、日本女子プロゴルフ協会の認知度をさらに上げ、団体の価値やブランド力をより高めて行きたいと思いました。そうなるためには、ゴルフの専門性をより追及して、内容のいい仕事をご提供できるように頑張って、信頼を勝ち取り、あの団体に任せたら安心と思って頂けるようになることだと考えました。昨年度、これだけツアーが盛り上がっている時期に、果たしてどれくらい世間の認知度があるのか把握したいと思い、ブランド調査もしました。
 結果、スポーツ団体の中で女子としては一番認知度が高いというのはわかりました。しかし、LPGAという認知度は意外と低いものでした。来年度に向けては、認知度の数値を上げていくとともに、協会はトーナメントとティーチングと事務局総務全体の3事業部がありますが、掲げたビジョンのもと、各事業部で重点テーマを掲げて、業務精査を始めて効率化を図り、収益性の見直しと改善に取組んでいる最中です。

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─ 事業部の中のGBD事業部はどのような事業部で今後はどうなっていくのでしょう

 今、オリンピックが2016年、2020年には東京ということが決まりまして、ティーチング部門にさらに力を入れています。これまでも指導者育成には20年以上に力を注いでまいりましたが、ジュニアゴルフコーチ制度という新しい資格を造って、ジュニアに特化した指導方法を学んでもらっています。これは2期目に入って現在46人の有資格者が全国で活躍しています。また、JGAさんやKGAさんと協力し合って、ジュニア育成に取り組んでいます。
 これまでは社団法人だったので、やってきた事業の多くが社会貢献事業でした。特に将来のゴルフを担う子供たちに向けたジュニアへのゴルフの普及、拡大に力を入れていて、17年目に入るサマーキッズデーや、ファミリーゴルフとか、今年で6年目になる、試合会場でやらせてもらっている「LPGAジュニアゴルフレッスン会 めざせ!世界」という活動など数多く実施しています。それからLPGAならではの大会をご提供できる全日本小学生ゴルフトーナメント決勝大会やスタジオアリス女子オープンのジュニアカップもあります。さらに、会員向けには各種セミナーやPGAさんと一緒にやっているティーチング資格付与など、会員の資質向上に向けた取り組みが多いです。これまでやってきた長年の実績をもとに積みあげたものをさらに強化していき、より効果的に行えるように改革を図っています。
 ゴルフ界全体の問題として、団塊の世代がゴルフをやめていく2015年問題があります。
また、今、ツアーのほとんどは50代、60代、70代のゴルフファンに支えられております。ゴルフ界全体がもっと活性化するように、私たちができることは何か、シニア世代に向けても事業を始めるべく計画を立てています。

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トーナメント会場で行われているジュニアゴルファーの普及、育成を目的とした「LPGAジュニアゴルフレッスン会めざせ!世界」

─ 実務的なところではシステム化を促進されました

 協会がシステム化をしたのは非常に遅かった。これからますますいろんな需要に応えるためにも、土台から作り直し、先が広がるようなシステム作りに励んでいます。ユニシスさんがコーポレートサポーターとしてやってくださっているので、心強いです。

─ 競技委員の強化にも力を入れていると伺っていますが

 競技委員がいなかったら大会は成立しない、とても重要な役割です。これこそ協会の専門性を代表する部門だと考えています。
したがって、大会に迷惑がかかるようなことはあってはならない。また、2020年には東京オリンピックがありますし、そこで弊協会の競技委員が活躍してほしいと考えています。今、取り組んでいるのは、世界のメジャーのうち、ANAインスピレーションと全英女子オープンに英語でジャッジできる競技委員を派遣して、実際に活動してもらっています。普段から世界のツアーと一緒に取り組むことで、勉強するところもありますし、切磋琢磨して国内の大会にいいものをフィードバックしたいです。
 グローバルな大会になると、英語でジャッジができることが必須です。また、その上にR&Aレベル3という資格を取得しないとなりません。現在日本女子プロゴルフ協会の競技委員は、R&Aレベル2までは全員が取得しています。いち早くR&Aレベル3を取得してもらうために、英語ができる人から実践を積んでもらっています。また、R&Aレベル3を取得すればR&Aレベル2以下も指導できます。そうした高い資格を有した人が大会をジャッジしているという事になれば、国内トーナメントの価値向上に寄与できると思います。したがって、今はオリンピックへ向けても、世界のメジャーに向けても、そうした人材が日本からできるだけ早く派遣できるように頑張っています。
─ 競技委員資格のR&Aレベル1〜3というのはあまり知られてはいませんね  そうですね。そうしたことももっと知っていただいて、例えば全国のゴルフ場でも様々な競技を開催していたりしますので、しっかりとした資格を有したプロゴルファーをそこでも活用して頂く機会が増えれば、プロゴルファーのセカンドキャリアにも役立つのではないかと思っています。

─ オリンピックということもあり、世界基準でレベルアップを図ろうとする一環で4日間大会の実現にも働きかけを行って来られました

 2011年就任当時は5試合です。今は9試合で開催いただけるようになりました。でも、すでに1997年に9試合ありました。日本では3日間大会が基本ベースですが欧米ツアーは4日間大会がツアー全体の8割程度を占めます。これから世界で活躍するには、普段やっている環境をできる限り近づけることで、より選手の能力を引き上げると考えています。日本選手が世界に出たとき、あるいは世界から強い選手が来たとき日頃の実力がぶつかり合いますので、4日間大会を少しでも多く積んでおくことで、能力ある日本選手がさらに才能を開花し、普段の実力をそのまま発揮しやすくなると思います。2002年にQT制度を取り入れてから強豪選手が日本に入ってきて国内の競争力が徐々に増しています。これからは3日間大会と合わせて4日間大会の増加が次の段階への布石になると考えます。スポンサーの皆様には、トーナメント毎の開催目的がありますので、考慮していただけたら大変有り難く思います。

─ あと、世界基準というとコースセッティングでしょうか

 はい。そのバリエーションを増やそうと思い、3年前から取り組んでいます。トーナメント毎にコースの特徴を捉え、気候、開催時期による芝の生育、グリーンの特徴、コースデザイン、場所等、選手の対応力を増すべく取り組んでいます。国土の広い米国は、芝種もフェアウエイがティフトン芝やライ芝がほとんどです。日本の高麗芝は米国では全体の4%しかありません。コースのバリエーションもシーサイド、平原、高地、砂漠などと多様です。日本はそれに比べると国土の問題からバリエーションが限られます。世界へ出たときに仮に3パターンの経験値の選手と、10パターンの経験値の選手とでは、対応力の差も出てきてしまう。
 そこで、日本では四季に合わせ、季節ごとの芝の伸びと勢いを最大限活用して、芝のコンディションとホールごとのデザインを組み合わせて、選手に何を求めるのか、明確化に努めています。バリエーションを増やすことで、選手がいろんな場所で戦うとき、経験があるのとないのとでは大きな違いが出ますから、その差をできるだけ埋めていきたいです。そうすることで、日本選手が大きな力を発揮してもらえたら最高です。
 また、イギリスのリンクスのようなものを日本でしようと思えば、どこか平らで風がビュービューと吹くようなところであれば似たようなセッティングは講じられます。そうした意味ではゴルフ場の選択も非常に重要になってきます。

─ 会長は米ツアーの仕組みや事情を良くご存知の上で世界基準に見合うレベルアップへの道筋が見えておられますが、アメリカとは仕組みが多少異なる日本においては意見がぶつかることはありませんか

 もちろん私たちには「世界で勝つために」という目標のもと、こうした希望、望みがあります。
 また、日本ツアーの仕組みは長年かけて培われ、ここまで成長し大きく育てていただいています。日本には日本の良さがあり、それで現在女子ツアーは世界の中でも一番の盛り上がりを見せているとも思います。
 私たちは日本選手ならびに日本ツアーの選手が国内外の大会で、よりその存在感を増すために、まだまだやりたいことがあります。スポンサーはじめ大会関係者と、進んでいけたら有り難いと考えています。

─ ワールドランキングの中の日本人選手について

 ランキングは上げていって欲しいですね。ロレックスポイントというのはそのフィールドの総合ポイントからブレイクダウンされ、ポイントの高い選手(強い選手)が多くいる米ツアーが総合ポイントは高くなります。日本ツアーはその次になりますが、その中でも3年前のアンソンジュ選手のように日本ツアーで上位にたくさん入れば、ベスト10に入れます。だから、日本ツアーでいかにたくさん上位で活躍するかがカギとなります。あとは世界のメジャーでのポイントは倍付けになります。

ワールドレディスサロンパスカップではロレックスランキング上位の強豪選手達が参戦した

ワールドレディスサロンパスカップではロレックスランキング上位の強豪選手達が参戦した

─ 韓国や台湾の選手がアメリカでも日本でも強さを発揮しています

 宮里藍選手も優勝を重ねてランキングが1位になったことがあります。韓国の選手はそうした選手の数が日本でも米国でも多いです。だからどこで戦っても勝っていく力というのが大事です。

─ 指導方法なのかトレーニング方法なのか、強い選手が出てくる背景をどう思いますか

 日本であろうが、世界であろうがどこに行っても「勝つ」という、勝ちに対するどん欲さの度合いだと考えます。そのためのトレーニングであり、技術、考え方など総合的に鍛えるものだと思います。私たちは結果の世界、数字がすべてなので、そこに向かってそれぞれがより才能を開花させることが重要なのです。

─ メディアの放送スタイルも録画からネット中継も含めて完全生中継にこだわろうとする試合が増えてきましたが

   非常に嬉しいです。やはりリアルタイムに試合が追えると、観る方はドキドキ感がまるで違います。それから個人的に好きなのがプレーオフです。マッチプレー状態になるので、駆け引きや戦略が見えやすいです。

─ 最後に主催者や関係者へ向けて何かメッセージやリクエストがあればどうぞ

 女子ツアーがこれだけ盛り上がって応援やご支援をいただいていることに、大変感謝いたします。これからもさらに応援して頂けるように、ゴルフの良さと普及拡大も合わせて、協会全体で努力を続けていきたいです。

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